それを愛だというのなら
と、いうわけで。
「ごめん、ちょっとお昼抜けるね」
いつものように席をくっつけた友達に両手を合わせる。
「え? 大丈夫? お腹痛いの?」
サツキが心配してくれる。
「ううん。ちょっと……」
実は、カレカノっぽいことをしてみようと思って、朝早く起きてお弁当を作ってみたのだ。
メールで今日のお昼に水沢くんと屋上で会う約束をした。
いつもより明らかに大きな保冷バッグを見て、フミがあっと声を上げる。
「わかった、誰かと一緒に食べるんでしょ」
「うちらじゃない誰かと?」
首をかしげるヒトミに、フミがにやりと笑って答える。
「男の子に決まってんじゃん! あの中は手作り弁当よ!」
ぎくっ。
やっぱり、彼氏もちは鋭い。
「ウソ、本当にそういうことなの?」
「誰と? ねえ、誰と?」
追及してくるサツキとヒトミの目は、見たことがないくらいらんらんと輝いていた。
騒がしい私たちに、自然と周囲の目が集中し始める。