それを愛だというのなら


しかし、その声の主を目にした私は、反論の言葉を失ってしまった。

なぜなら、そこにいたのは、驚くほど綺麗な顔をした男の子だったから。

吹き出物のないつるりとした肌に、茶色がかった前髪がかかっている。

髪がかかった両耳から銀色のピアスがそれぞれ三つずつくらいのぞいていた。

その瞳も色素の薄い茶色で、まるで西洋の人形みたい。

なんなのこの人。ハーフなの? ヤンキーなの? いや、もしかしたら天使?


痛みのせいか、錯乱してきたみたい。

天使なんて、いるわけない。

その証拠に、彼が来ているのはこの高校の制服だ。


「違う」


短く答えると、彼は眉間にシワを寄せた。


「でも、血が出てるみたい」


そう言われて、ハッとする。

たしかに、足の間にぬるぬるとした生暖かいものが伝っている。

下血の血液が、漏れてしまったんだ。

そう自覚した途端、目の前が揺れる。

顔から地面にのめり込みそうになって、なんとか両手をついた。


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