それを愛だというのなら
4.彼がいる理由
「終わった~!」
木曜。すべての科目のテストが終わり、万歳をする。
人生最後のテストが終わった。
今回は健斗のおかげで、数学もいつもよりはなんとかなったような気がする。
「お疲れ。今日は彼氏と一緒に帰るの?」
サツキが声をかけてくる。
「ううん。今日は皆と帰る」
健斗はテストの後は用事があると言っていた。
私は健斗も大事だけど、友達とも一緒にいたいので、別段不満に思わなかった。
それぞれ自転車に乗り、それぞれの家の方向へ散らばっていく。
まずフミが離脱し、次にサツキが別の方向へ。
普段ならそこからすぐの交差点でヒトミも違う方向へ行くのだけど……。
「ねえ、瑞穂。ちょっと話さない?」
「え?」
こいでいた自転車を停めると、ヒトミが追い付いてきた。
こんなことは今までなかったので、少しびっくりする。
「うん、いいよ。けど暑いね。どこで話そうか」
「そこでいいんじゃない?」