それを愛だというのなら
「どうもー、先生。急患でーす」
がらりと医務室の戸を開ける音がして、ふっとまぶたを開けた。
「なに、どうしたの」
部屋の隅に座っていた養護教諭が立ち上がる。
彼は勝手に医務室の奥に入っていき、ベッドに私を横たえた。
「広瀬さんね。またお腹が痛くなっちゃった?」
また、と言われちゃった。
この女性教諭は私の病のことを知っている。
クローン病と診断される前、入学当初からよくここへ駆けこんでいたのだから、当然だ。
「血が出てんだけど」
「えっ」
後ろで長い髪をくくった女性教諭は、茶髪の彼の言葉で急いで私の腰の辺りを確認する。
「本当だ。広瀬さん、一度病院で診察を受けた方がいいかもしれない。お母さんに連絡するね。ところで君はどうして授業中に彼女を連れてきてくれたの?」
「あー、俺も体がだるいんです、先生。それでここに来ようとしたら、彼女がうずくまってたから」