王様の命令は?



汗ばむ肌の上を指先が這っていく。


〜…っやだ、触んないで…!


手を動されるたびにもう意識がそこにしかいかなくて、何も考えられないぐらいになるこの感覚。



なに…?


こんなの知らない。



何かがこみあげてきて、気を抜けば声が出そうで。



きゅっと口を結ぶことでなんとか自分を保てていた。




「もう立ってらんねぇんだろ」




耳元に唇を寄せてささやく低い声。



胸が苦しくなって呼吸を楽にしようと無意識に顎をあげた。


視界に自分の手が映る。


無意識のうちに匠のシャツを握っていた。


しわがつくぐらい力強く。


ほんとだ…私…


すがりついてなきゃ、立ってらんない。



「匠……っ」


「…………」


「ね……聞こえてる?」


「――……っ、先…戻る。やり残したことあんだった」



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