王様の命令は?
小さく笑ったような気がしたけど、表情を見ることは叶わなかった。
顔を匠の両手に捕らえられ、上に向けさせられる。
一度目のキスは突然でそれも強引だった。
二度目の今もそれはそれは強引に。
『全部、奪ってやる』
いつしか言われた言葉。
遠くなりそうな意識の中で思いだされる。
思い出して、余計に体が熱くなる。
もし嫌だと思うなら全力で拒めばいいのに、私――……
離してほしくないって思ってる。
私から触れるの禁止とか言ったくせに。
相手はこの男なのに。
性格最低最悪な王様なのに。
「はっ……待っ…苦しいから」
「煽ったのはそっちだろ」
「ん……っ」
先に落とされるのは私なんじゃないのか
なんて、そんなこと
ぼんやりする頭で思ってしまった。