王様の命令は?
柳瀬くんの悲痛な思いがこぼれ落ちていく。
柔らかな明かりの店内は心地いい明るさで、癒しの空間を演出。
営業時間外だからか、それとも普段からもともと音楽はかけていないのか、店内には私たち人がいるのにとても静かだった。
「ねぇ、千紘は俺にどうしてほしい?どうしたら……ゆるしてくれんの?」
ぽつりぽつりと丁寧に紡がれて出てくる言葉が空間を揺らす。
千紘はこらえきれず、静かに涙を流していた。
「……っ、じゃあもういい。このままでいたいなら好きにしろ」
違う。
こんな事を言いたいわけじゃない。
柳瀬くんの顔にはすぐに後悔の表情が滲んでいた。
私もまさかそんな言葉が出てくるなんて思わず、びっくりして胸の前でぎゅっと手を握った。
うっ……どーにかならないのか、これ。