王様の命令は?
「っ!?」
首に回された腕に引き寄せられかと思えば、すぐに匠の手が私の口を塞いだ。
そう耳元で囁いた声はいつもより少し低くて、唇が、息が触れるほどの距離で。
パニックにならない人がどこにいるというの。
「俺からは声かけらんねえけど、ミスコン参加したいならまだ枠あるから。あ、陸にでも俺から言っとく。あいつまだ女子見つけてねえって言ってたし」
「匠くんからじゃなきゃ意味がないの!」
「あ?そんなん知らねえよ」
「だってっ……」
今にも泣き出しそうに顔を歪めるその子は放置。
優しさのかけらもない男。