王様の命令は?


志麻くんのあの調子には少し驚かされるけど、人懐っこいあの性格は憎めない。



悪い子ではなさそうだし…嫌いになるほどまではいかないけど。



あの急に近い距離に慣れろって難しい話よ?



大丈夫かな、なんて少し不安になりながらも小走りでみんなに追いついた。




5人で帰っていることに新鮮さを感じながらも途切れることのない会話は楽しくて、駅までの道はあっという間だった。






「飲み物買って来る」



「あ、待って匠くん私も行く。みんなはなにか欲しいものない? 陸はさっきお茶飲み切ってたよね」



「うん、もうないから…じゃあレモンティーお願い」



「俺は大丈夫~ユズは?」



「私もまだあるからいいや」




千紘を待たずに先に歩き出していた匠。


あいつ……千紘をおいてくなんて!



あの男に千紘のような気遣いだとか優しさなんて備わってないんだろうな。



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