王様の命令は?
ここに残ったのは柳瀬くんと志麻くん、私の3人。
匠がいないこの隙に…
「ねぇねぇ、匠の弱みってなに?」
「弱み?弱み…なんだと思う?志麻」
「えー、なんだろ。パッと思いつかないね。そんなこと知ってユズはどうすんの?」
そんなの、決まってんじゃん。
弱みを知ることができれば、匠の攻撃にも応じることができるし。
黙らせるし?
言うことに従わなくてよくなるかもしれない。
弱みを握った私に怖いものなんてない!
俺の言うことは絶対だ、なんて言う偉そうな王様の悔しさで歪む顔が楽しみだよ。
「俺がなんだって?」
「うっ…!?」
突然、ひやっとしたものが頰に当てられて悲鳴が出る。
顔を向けてみて、
「っ、べつに匠の話なんてしてませんよ」
「は?目そらすなんて分かりやすい奴。やっぱアホじゃねえか」