彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「俺は運転中だ。交通ルールを忘れるなと瑞希に伝えろ、凛道。」
〈聞こえてんぞ、鉄仮面!なんで凛を巻き込んでんだよ!? 〉
「心配せずとも、凛道は無傷で返してやる。家から出るなよ、瑞希。」
〈伊織!〉
「魂が入ってるかどうかは、走り終えんとわからんがな。」
〈いおりー!!〉
「ブラックジョークはやめて下さい!」
とはいえ、これ以上、瑞希お兄ちゃんに心配かけちゃダメよ!
「瑞希お兄ちゃん、僕・・・・あう!」
そう言いかけて、窓にぶつかる。
〈なんだ、凛!?〉
「僕は!み、瑞希お兄ちゃ――――――痛い!?」
飛んで来たハンバーガーがぶつかる。
「おにい、お兄ちゃん!あう!ああ!あ~~~!?」
〈凛―!?何が言いたいんだー!??〉
ガタガタゆれる車内。
「み、瑞希お兄ちゃぁん・・・!!」
障害物を振り払い、手すりにしがみつく。
「お兄ちゃんに言っておくことがあります・・・!」
〈何をだ!?〉
衝撃に耐え、負けないように頑張る。
息も絶え絶えに、窓ガラスに張り付いた状態で言った。
「僕・・・瑞希お兄ちゃんのこと、愛してます。」
〈凛!?〉
「愛してる、瑞希お兄ちゃん・・・!」
〈オメー、遺言かぁぁぁー!!?〉
〔★嘘いつわりのない愛の告白だ★〕
〈凛!それはどういう意味でー〉
「瑞希お兄ちゃん、それはね・・・」
―――――――――ブツンッ!!
心配しないでと言う前に携帯がきれる。
「え!?なんで!?」
通話から、普通の画面になり、思わず携帯を凝視する。
「やはり、切れたか。」
「獅子島さん!?まさかその口ぶり、あなたの仕業―!?」
「それが出来ればもっと楽に生きているぞ、馬鹿者。」
「じゃあ、なんです!?」
「ただの圏外だ。」
「このタイミングで!?」
〔★電波も運も悪かった★〕
「ああああ!本当だ、瑞希お兄ちゃんに電話できない!」
アンテナが立つどころか、ハッキリと【圏外】と表示をされている。
冗談じゃないと思いながら聞けば、目だけで私を見てから獅子島さんが言った。
「凛道、窓がロックしてあるか確認しろ。」
「えっ!?戸締りですか!?ロックできてますけど・・・?」
「逆だ。開けておけ。逃げる時に困る。」
「窓から出なきゃいけない状況になるんですか!?」
〔★否定は出来ない★〕