彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
(これが男と女だったら、こうもならないんだろうなー・・・・)
女の子なのに、男のだと名乗ってること。
同性だと思われてるから、こんなにフレンドリーにしてもらえている自覚はある。
なにも知らない彼に、胸がチクッとする。
少しだけ罪悪感を覚えていれば、彼の手が私の頬から離れる。
代わりに、私の顔の汚れを指で拭いながら言った。
「凛、風呂の用意できてるから、シャワー浴びて来いよ。」
「えっ!?シャワーですか?」
「ああ。泥まみれになってるかと思えば、ソースやシロップでカオスじゃねぇか?」
「あ・・・はい、口の中が、甘いのか辛いのかわからなくなってますね・・・」
「はははは!そうだなぁ~かじれないよなぁ~?どっちにせよ、そのままだとアリが群がるぞ?伊織も、一緒に行って来いよー」
「え!?」
(一緒に!?)
その言葉で、違った意味でドキッとする。
「伊織ー皇助に連絡つかねぇんだろう?だったら、ひとっぷろ浴びてからでも遅くないだろう?」
首だけで振り返る瑞希お兄ちゃんの視線の先には、いつの間にか追い付いていた獅子島さんがいた。
「どうせ、女とよろしくやってんだろうぜ。だったらこっちも、すっきりしてからでも、いいんじゃねぇか?」
「チッ!しかたあるまい・・・!」
耳から携帯を離しながら、いまいましそうに答える獅子島さん。
「汚れを落とすなら、早い方がいい。凛道と風呂に入るのも、よかろ・・・」
「よくない!!」
獅子島さんの言葉をさえぎり、瑞希お兄ちゃんの好意をキャンセルする。
「え?凛??」
「凛道?」
「ぼ、僕はいいです!」
「「はあ?」」
「お、お風呂はいいです!入れません!」
瑞希お兄ちゃんの腕の中、首を横にふりながら断る。
(ダメダメダメ!!絶対に、だめ!!)
だってそうでしょう!?
お風呂に入るって!
本当の男同士なら、問題ないけど~
(私は女子!!)
うっかり服を脱いで、見られたら~
(女の子とバレる!!)
〔★本日一番のピンチだ★〕