彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)


「あの野郎~うまくごまかしやがって!」

「うう・・・さすが獅子島さん・・・無駄のない動きですね・・・」

「そこは怒っていいんだぞ、凛!?大丈夫か!?歩けるか!?」

「うっぷ・・・フラフラしますが、なんとか・・・あ!?」

「おわっ!?危ない!」



自力で進もうとする私に、天使が手を差し伸べる。



「ほら、無理するな!」

「あ、ありがと・・・・ええ!?」



お礼を言いきる前に、視界が変わる。

ふらつく私の体を、瑞希お兄ちゃんが軽々と持ち上げた。




「み、瑞希お兄ちゃん!?」

「無理するな!ここは、弟らしく俺に甘えな。」



そう言って、私をお姫様抱っこする王子様・・・!!



(素敵プリンスよ・・・!!)



〔★設定では、兄と弟だ★〕



「ほら、大人しくしろ、凛!落とすだろう?」

「は、はい!」



(ああ・・・至近距離の瑞希お兄ちゃんが愛しい・・・!)




心配そうに私を見るまなざしが熱い。

物語のヒロインの気分で運んでもらう。

CLOSEされた店内の長椅子の1つ、ソファーの端に私を下ろす。



「ちょっと座ってろよ?」



そう言うと、住居スペースの方へと引っ込む好きな人。

すぐに戻ってきた手には、大小さまざまの大きめのバスタオルを抱えていた。

それを私がいるソファーの上に敷くと、瑞希お兄ちゃんは言った。




「凛、ここに寝転がれ。」

「え!?」



そう言いながら、タオルが敷かれた場所をポンポンと叩く瑞希お兄ちゃん。



「しばらく、横になってろ。」

「でも・・・」

「遠慮すんな!寝てた方が楽だぜ?」

「わ、わかりました・・・」




体調も悪かったこともあって、言われた通りに横になる。



(あー・・・・やっぱり、横になった方が・・・・)


「楽です・・・」

「そうだろう?少し休んだから、風呂で汚れを軽く流そうぜ?」



ホッと一息つく私に、彼も同じ顔で言う。

そして、なぜか私の靴へと手を伸ばしてきた。

触られて、そのことに気づいて声を上げる。



「ん?今度は何ですか、瑞希お兄ちゃん??」



触られるのに戸惑いながら聞けば、いつもと変わらない様子で彼は言った。



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