彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「あ・・・」
ダメ!それ以上触ったら、バレる・・・・!!
(バレちゃうけど―――――――――!!)
「何度も言わせるな。俺に甘えろ、凛。」
「―――――――――――瑞希お兄ちゃん!」
(彼になら、何されてもいい。)
私の中で何かがキレる。
すがるように向き合う。
「み、瑞希お兄ちゃん!聞いて!」
「凛?」
抱き合うように近づく私達の体。
(もう、どうにでもなれ!私は、私は、この人を愛してるんだ!!)
「僕、あなたを本気で好きなんです!嫌われるのが怖いだけど!」
「り、凛、落ち着けって!なにを・・・??」
「聞いて下さい!僕、本当は男の――――――――――」
男の子じゃない!!と告げようとしたのだが。
ガラガラガラ!
「凛ちゃーん!お風呂入ってるって聞いて、モニカちゃん来ちゃった~♪」
「え!?」
「あ。」
カギのかかっていない風呂場の戸が勢いよく開く。
「汚れちゃったから、気分悪いの我慢してお風呂に入ってるんですって~!?そんな凛ちゃんのために、お湯の中で水分補給できるように、特性のトロピカルジュースを・・・・!?」
そう言って現れたのは、フルーツとジュースが入ったグラスを持ったオネェさん。
「「・・・。」」
固まる私とモニカちゃんと、
「なんだよ、モニカ?もう帰ってきたのか?」
あっけらかんと言う瑞希お兄ちゃん。
そう語る両手は湯船から出ており、私の両肩に回されていた。
瑞希お兄ちゃんの胸と私の胸は密着していなかったけど、知らない人が見れば抱擁にあてはまる姿勢だったと思う。
「か・・・・帰ってきてよかったわよこの野郎ぉぉぉぉぉぉ!!」
そして、モニカちゃんの顔から笑顔が消えた。
「テメーゴラ瑞希っ!!?」
「ひゃっ!?」
「うわ!?モニカ!?」
オネェさんから一変、お兄さんモードでキレるモニカちゃん。
「俺のいない間に、凛ちゃんとお風呂とかふざけんじゃねぇぞ!?美味しすぎんだろう、こんちくしょー!?」
大音量の罵声の後で、パリーン!!というグラスの壊れる音がした。