彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)



本当なら、獅子島さんの車に積んでくるはずの屋台の道具一式は、彼が借りてくれたレンタカーで持ってきた。

運転も獅子島さんがしてくれた。




「瑞希お兄ちゃん、獅子島さん!これで終わりです!」




最後の荷物を、屋台になる場所に運ぶ。

私の声で掃除していた2人が顔を上げて答えてくれた。




「サンキュー、凛!」

「では、セッティングといこうか。」




衛生面でも、きちんとしている瑞希お兄ちゃん達にプロ意識を感じたところで・・・






「おーい、『チョコちゃん』達じゃねぇか!」

「え?」





そう言って、誰かが近寄ってきた。






「あ、会長さん!?」






やってきたのは、祭りの実行委員のおじいちゃん。




「おはようございます、会長。」

「ご無沙汰しています、大原会長。」




私の言葉で、瑞希お兄ちゃんと獅子島さんも挨拶する。




(この人、大原さんって言うんだ・・・)



初対面の時から、『おじちゃん、おじちゃん』と言うばかりで、自分の名前を名乗らなかった会長さん。

やっと名前が判明したところで、大原会長も瑞希お兄ちゃんと獅子島さんに声をかけた。



「おう、サナちゃん、伊織君!今日はよろしくな!」

「はい、お世話になります。」

「未成年もいますので、よろしくのほどを。」

「がははは!そうだな~約束通り、『チョコちゃん』も来てくれたからなぁ~」

「あの~・・・」




うなずきながら言う会長さんに、念のため聞いた。



「会長さん、会長さん。」

「ん?どうした、『チョコちゃん』?」

「・・・それ、僕のことですか?」




さっきから、人の顔を見るたびに、『チョコちゃん、チョコちゃん』と呼ぶ。

確認を含めてたずねたら。




「がはは!そうに決まってるだろう。」

「僕なんですか!?」




〔★凛のことだった★〕



笑いながら言う会長にギョッとすれば、隣にいたお方が言ってくれた。



「はあ!?何言ってんすか、会長?こいつの名前は『凛』ですよ!?」




〔★正しく(?)は『蓮』だ★〕



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