彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「チョコたん兄ちゃんに比べれば、俺の親父マジKY!」
「KY・・・・『空気が読めない』の略ですか?」
「『凶暴、よろしくない』だよぉ~!」
「そうきますか?」
クスッと笑えば、相手もニコッと笑う。
無邪気で、悪のかけらのない、キレイな笑顔を見せるちーちゃん。
そんな相手と2人で小さく笑いあった後で、私はちーちゃんに聞いた。
「ちーちゃんは・・・・親御さんが組合に加入してるから、子のお祭りのお手伝いに、狩りだされたんでしたっけ?」
「そーそー!わかってんじゃん、チョコたん!マジ、熱いのにありえねぇし~!親父の奴、今頃クーラーのある部屋で寝てんだぜ、きっと!不公平だと思わねぇ!?」
「そうですね・・・」
「自分も『昔した』からって、お前も勉強して来いって、えらそーに言ってくんだよね!帰ったら、帰ったで、なにをどうしたか、誰となにがあったか、報告しなきゃダメで、ダルすぎ!」
(本当によくしゃべるわね・・・。)
とはいえ、はげましてくれたので、悪い奴ではないと思う。
なぐさめてくれたということもあり、お返しのつもりで言った。
「でも、ちーちゃんのお父様も、ちーちゃんと同じ年の頃に、こうやって暑い中、働いていたと思いますよ。」
「へ?」
「だからお父様も、ちーちゃんが感じたような辛さを、知ってると思います。それを知っていて、勉強させたくて、このお祭りの送り込んだとも考えられますよ。」
「チョコたん。」
「報告にしても、笑い飛ばして愚痴ればいいじゃないですか?こうだった、ああだった、親父のせいで大変だったぞボケって、話してれば、お父さんの時もそうだったと・・・・共感できる話題も見つかるはずです。」
「んー・・・それもそうかも。」
私の話に、静かに答えるちーちゃん。
「そう言う考え方も、あり・・・・だな。」
「え?」
(あれ?なんか・・・雰囲気が変わった・・・?)
そう感じるほど、目つきと表情が落ち着く。
でもそれは、一瞬のことだった。
「チョコたんは、えらいにゃ~ん!ウェイウェイウェイ♪」
すぐに、にぱぁとした軽い表情に戻る。
猫語も使うお茶目な姿。
(・・・見間違いだったかな?)
「ちっちゃいのに、しっかりした考え♪」
ニコニコしながら言うので、私も笑顔を作りながら応えた。