彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「それじゃあ僕、お兄ちゃんに頼んでみますよ。せっかく友達になったんだから、同じ休憩になれるようにお願いしてみます。」
「マジで、チョコたん!?」
「マジです。」
「てことは、今すぐお兄ちゃんに聞いてくれる系!?」
「は!?積極的ですね!?」
「だって~背後にお兄ちゃんいるからさー♪」
「え?」
「・・・・チョコ。」
チャラオの声と、大好きな声が重なる。
振り返ればそこに、『彼』がいた。
「チョコ。」
私をチョコと呼ぶ、愛しいあの人。
真田瑞希様がいた。
「お、お兄ちゃん!どうし――――――!?
「馬鹿野郎!!」
質問したら、怒鳴られる。
同時に彼が私へと駆け寄ってくる。
「心配したんだぞ!?」
「わっ!?」
そのまま、パイプ椅子に座った状態で抱きしめられた
「お兄ちゃん!?ど、どうしたんで・・・?」
「どうしたじゃねぇよ!お前、『強盗』に遭遇したんだって!?」
「え?」
「村さんが、血相変えて、俺のところに知らせに来たんだ!凛が、皇助みたいな強盗に襲われたって・・・!」
「いいえ、僕が遭遇したのは、噂の割引詐欺です。」
〔★間違って伝わっていた★〕
「はあ!?悪質キャッチだったのか!?じゃあそいつに、ナイフで襲われたのか!?」
「いいえ、素手でした。襲うどころか、逃げようとしたので足を払って叩きました。」
「あれ!?聞いてた話と違うぞ!?」
うん、かなり違っている。
「それじゃあ、ガキだからだましやすいって意味で声をかけられ、無理やり金と体を奪われかけたってのも・・・・・・・・・・デマか?」
「そのデマを流した人、ここに連れてきてもいらってもいいですか?」
「はあああ!?違うのかよ!?」
〔★大違いだ★〕
私の言葉に、目を丸くしながら言う瑞希お兄ちゃん。
同時に、彼が脱力したのもわかった。
「な~んだよ!俺てっきり、凛が性的被害にあったとばっかり・・・!」
「あいませんよ!僕が強いのは、お兄ちゃんも知ってますよね?」
「武器と素手は違うだろう?あせって損した。」
〔★取り越し苦労だった★〕
「というか、なんで僕が被害者になってるんですか?」
「多分・・・町内会の連中の中で、話が伝わるうちに、そうなったんだろうな~おじさんおばさんの中じゃ、『素直で礼儀正しいチョコちゃん』は『絶滅保護の小動物』だからな。」
「滅びませんよ!?僕、絶滅しませんからね!?」
一人歩きしていた噂に、私も呆れる。
文句を言う。
それは瑞希お兄ちゃんも同じだった。