彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「まったく、帰りが遅いからどうしてかと思えば・・・チョコちゃんが性犯罪に巻き込まれたって、村さんが知らせてくるからよ。店そっちのけで駆け付けたのに・・・嘘かよ?」
「す、すみません・・・」
私に苦情を言われても・・・と思ったが、これ以上、彼のご機嫌を損ねたくない。
「ごめんなさい、お兄ちゃん。」
嫌われたくないから謝った。
「違う。お前が謝ることじゃない。」
「え?」
そんな言葉に合わせ、そっと頭に手を置かれた。
「凛が悪いわけじゃねぇ・・・」
「で、でもお兄ちゃん、僕のせいでお店を飛び出してきちゃったんですよね?それって僕が、ご迷惑をおかけ―――」
「心配したんだ。」
「お兄ちゃん?」
そっと彼を見上げて、ドキッとした。
真っ直ぐに、真剣な目で彼が私を見ている。
「さっきは・・・ごめんな。きつく言いすぎた。」
そう言うと、片手で私を抱き、もう片手で頭をなでながら告げられる。
「夜市で屋台の接客、お前にとって、はじめてだったのに・・・・最初からできるもんだっていう気でやらせちまってよぉ・・・」
「そ、そんな!お兄ちゃんのお店でお手伝いしてるから、ある程度はできないとー!」
「それとこれとは違う。違うのにさ・・・迷惑な客から従業員を守るのが店長の務めなのに・・・ごめんな。」
「お兄ちゃん・・・・!」
私に語り掛ける目は、怖くない。
優しくて、温かくて、どこか心細いように見えた。
「怒ってない・・・・?」
「怒ってない。むしろ、俺が怒られる方だよ。ごめんな?」
「そんなことないよ・・・・!」
「お前が・・・女といちゃついてる風に見えて、腹が立って・・・悪かった。許してくれるか・・・?」
恐る恐るという感じで言われ、感極まる。
「お、お兄ちゃーん!!」
パイプ椅子から立ち上がり、彼へと飛びつく。
「許すも何も、ごめんなさーい!」
ギュッと抱き付き、頼もしい胸板に顔をくっつける。
「謝らないで!お兄ちゃん悪くないよぉー」
「・・・泣くなよ。ごめんな、泣かせて・・・」
「だって・・・!」
「じゃあ、これで仲直りな?よしよし。」
「ぐす・・・うん・・・・!」
ギューと抱きしめられ、良い子良い子と頭をなでられる。
(よかった・・・嫌われてなくてよかった・・・・!)
今回は、上手く仲直りで来たけど、今度から気をつけよう・・・・
(次は、違った方法で渕上達に仕返しを・・・・!!)
〔★腹黒い凛が発動した★〕