彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
今は、仲良し兄弟だけど~いつか必ず、告白するから!
(待っててね、瑞希お兄ちゃーん♪)
ルンルン気分で、スキップしながら歩く。
コァーン!
「りーん!」
「え?」
フェリチータの側まで来た時、バイクの音と人の声がした。
「カンナさん!?」
「よぉ、ご機嫌そうだな、凛?」
パインクの単車にまたがり、半ヘルメットを直しながら言うのは友達のカンナさんだった。
笑顔の彼女に、私も笑顔で駆け寄る。
「カンナさーん、久しぶり~!」
「おう!元気してるか、凛?さらわれてねぇ?」
「大丈夫です!僕は人間レンタル、受けませんから!」
「なんかあったっぽい発言だな、オイ!?」
私の言葉に、カンナさんがするどくツッコむ。
そんな彼女に、にこやかに答える。
「話すと長くはなるんですけどね~」
「そんな気がするわ。ヒマそうに見えて、忙しいのな、お前は~?まぁいいや!なぁ凛、今ヒマだろう?遊ばねぇ!」
「わぁ~いいですね!瑞希お兄ちゃんとの時間を過ごした後で、カンナさんと遊ぶのも!」
「真田先輩優先かよ!?じゃあ、今夜はオールで走ろうぜ!あたしの単車、百鬼先輩のところでモーター変えたばっかで調子いいんだぜ?」
「え?今夜、オール?」
「ああ。都合悪いのか?」
徹夜をしようというカンナさんに、私は正直に伝えた。
「ごめん、カンナさん・・・・僕、夜は・・・用事があるんだ・・・」
そうなんです。
よりによって今日は、決戦の・・・・・・合コンの日。
(ますみちゃんという小悪魔と戦う日なのよね・・・・)
「用事?」
「うん、今夜はダメなんです。」
本当は夕方からだけど、念のため夜からだと言う。
それに彼女は眉を吊り上げる。
「はあ?オメーも駄目?」
「え?『オメーも』って?」
「なんかよー大河も秀も悠斗まで、忙しいって言いやがってよ!」
「あ、そうなんだ・・・」
それはそのはずでしょう。
(私と一緒に、合コンに参加するんだもんね・・・)
本来なら、夜市でつかれた体を十分休めたら、瑞希お兄ちゃんの姿を見てリラックスするところだけど。
(ヤマトが・・・・・・ますみちゃんの友達に一目惚れしたから、その恋を応援するために、合コンするんだよね・・・)
戦力外と言われながらも、助けてあげた女子高生。
『強かった』と見直され、感謝するだけならいいけど・・・
(なぜ、告白をしに来た・・・・・・?)
お礼を言いに来たならわかるけど。
(私を好きって、なに?)
それも『恋愛』の意味での好き。
異性として愛してますって・・・・。
(彼氏になってとか、冗談じゃないわよ・・・!)
〔★恩をあだっで返された気分だ★〕