彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「ちゃんと、楽しいって気持ちで過ごせるのか?」
「それ、は――――――・・・・」
彼が何を言おうとしているか察する。
(『凛道蓮』としてのいじめを気にしての発言なのね・・・)
実際にいじめられているのは、『菅原凛』。
嘘が本当になっちゃったけど、『凛』としていじめられているのは本当のこと。
(『凛道蓮』に都合のいいように話を合わせた結果、瑞希お兄ちゃんを不安にさせちゃったわけだけど・・・・)
心配そうに私を見る彼に、罪悪感を覚えながら言った。
「楽しいですよ。知ってる人ばかりですから・・・」
嘘は言ってない。
ヤマトも円城寺君も、他の二人も同じ年の同級生。
前から約束していたこと。
(なによりも、私は瑞希お兄ちゃんの質問に『そうです』とは答えてない。)
瑞希お兄ちゃんには悪いけど、勘違いしてることを訂正しないだけ。
修正も、否定もしないで、沈黙でいること。
相手の思い込みを、利用している悪い子なのだ。
でも、仕方ないじゃない。
だって僕は、悪いヤンキーなんだから。
〔★凛は強がっている★〕
「凛がそう言うならいいけどよ・・・送って行ってやろうか?」
「いえ、いいです。1人で行けます。」
ズルい私の考えを知らない瑞希お兄ちゃんが、優しい言葉をかけてくる。
罪悪感が強くなったけど、いつも通り笑顔で対応する。
「本当にいいのか?俺、仕事まで時間あるんだぞ?気にしなくていいんだぞ、凛?」
「だからこそ、悪いですよ。仕事前なんですから、少し休まないと・・・お疲れが出ちゃうじゃないですか?」
「そうか?」
「そうよ、みーちゃん!抜けがけは許さない!凛ちゃんとお風呂に入ったからって、良い気にならないで!」
「はあ!?凛、おまえ・・・・そこまでブラコン!?」
「ぎゃああああああ!ばらさないでモニカちゃーん!!」
しんみりしたムードの中、モニカちゃんがお風呂事件の話題を出す。
これにカンナさんが目を丸くし、私は顔が熱くなる。
〔★カンナに秘密がバレた★〕