彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「コーヒーの種類ごとに、入れ物を入れ替えるのか?手間じゃないか?」
「ええ。でも、そうしないと間違えそうで。俺はわかりますが、他の奴らが・・・」
「それもそうか~コーヒーの色の違いは、ジジイにもわからないからなー!」
「それと会長。今年からはコイツも、うちの店を手伝うのでよろしくお願いします。」
「ふえ?」
そう言って、ジュースを飲んでいた僕を抱き寄せる瑞希お兄ちゃん。
その力に乱暴さはなく、強引だけど優しくて~ホント、優しい~!
〔★凛はのろけている★〕
体に触れられたのは、嬉しかったけど、油断した。
ちゅーとジュースを飲んでいたので油断していた。
「ほら、凛!あいさつは?」
「あ、ああ、はい!」
即座に、反応できなった。
瑞希お兄ちゃんにうながされ、慌てて口からストローを放せば、会長さんと目があう。
そんな僕に、おじいさんはニカッと笑いながら言った。
「ははは!サナちゃんの弟の凛君だったか?」
「は、はい!り、凛です!この度は、よろしく願いします!会長さん!」
「お、良い挨拶だな~坊主!しっかり兄ちゃんを助けるんだぞ?」
「も、もちろんです!頑張ります!」
年配の方ということもあり、90度のお辞儀をすれば、おじさんが楽しそうに笑います。
「はっはっはっ!良い子じゃないか、サナちゃん!?よく似た美人姉妹だね~」
「だから兄弟っすよ!わざとですか!?」
「すまん、すまん!からかいがいがるから、ついな~?しかし、あのサナちゃんが、立派な社会人になってくれてよかったぜ!」
「ちょ、よしてくださいよ、会長~」
しみじみ言う会長と、照れる瑞希お兄ちゃん。
その『意味』を知っているので、よくわかりました。
「おい、あれ!」
「うわ!?真田さん・・・?」
離れた場所から、こちらを見ている若者達のこともわかりました。
「やべぇーよ、元『龍星軍』の『初代総長』、『真田瑞希』さんじゃんか・・・!?」
「あれが?女みたいじゃんか!?」
「馬鹿!聞えたら、殺されんぞ!?」
そうなんです。
瑞希お兄ちゃん、こう見えて、元ヤンキーなんです。
女の子みたいに可愛い見かけによらず、とっても強いんですよ。
かつて、町中だけでなく、日本全国で一番になった最強暴走族。
『龍星軍(りゅうせいぐん)』初代総長の真田瑞希というのが、私の頭をナデナデしているお方なんです。
〔★彼の昔はワルだった★〕