彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)


ギュッと私を抱きしめると、目を閉じながら叫ぶますみちゃん。




「可哀想な蓮君!話もきちんと聞かないどころか、硬派が女の子に手を出せないってわかってて叩くなんて・・・あの人サイテーだわ!」

「なに言ってんの、ますみちゃん!?なんで今ここで、取り消しになったキスの話を出すの!?」

「へぇ・・・!!キスをすることになってたのは、間違いないんだな・・・!?」

「凛の奴最低っすね、真田先輩・・・!!」

「そ、そうだけど!誤解だよ、瑞希お兄ちゃん、カンナさん!僕はちゃんと断ったから――――――――!!」



「そういう問題かっ!!?」


―――――――――――ゴン!!


「いたぁ!!?」






そんな罵声に合わせて、本日2度目の拳が落ちる。

与えて下さったのは、もちろんあのお方。




「み・・・・瑞希お兄ちゃん!?」

「このバカがっ!!」




私を叩いたこぶしを震わせながら、真っ赤な顔で瑞希お兄ちゃんが怒鳴る。



「高千穂の気持ちも考えないで、よくそんなことが言えるな、凛!!?」

「な!?あ、あたしは別に、凛のことはどうでもいいです!キスしようが、デートしようが!」

「だから、キスはしませんって!」

「じゃあ、デートはいいんだね。」



その言葉に合わせて、私の背中に腕が回される。

くっついてきたのはもちろん。



「ますみちゃん!?」



この場を修羅場に変えている原因。

彼女はうるんだ目で私を見上げながら甘い声で言った。



「蓮君、デートならいいよね?キスの代わりに、ますみとデートしよう。」

「ええ!?」

「こんなんじゃ、合コンはもう無理だしぃ~助けてもらったからキスはナシだけど、王様としての命令がなくなったわけじゃないよ?だから~デートで貸し借りなしにしよう?」

「えええ!?王様ゲームってそこまでするの!?」

「「「「するわけないじゃん!」」」」



否定してくれたのは、その様子をうかがっていた一団。


< 331 / 715 >

この作品をシェア

pagetop