彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
ギュッと私を抱きしめると、目を閉じながら叫ぶますみちゃん。
「可哀想な蓮君!話もきちんと聞かないどころか、硬派が女の子に手を出せないってわかってて叩くなんて・・・あの人サイテーだわ!」
「なに言ってんの、ますみちゃん!?なんで今ここで、取り消しになったキスの話を出すの!?」
「へぇ・・・!!キスをすることになってたのは、間違いないんだな・・・!?」
「凛の奴最低っすね、真田先輩・・・!!」
「そ、そうだけど!誤解だよ、瑞希お兄ちゃん、カンナさん!僕はちゃんと断ったから――――――――!!」
「そういう問題かっ!!?」
―――――――――――ゴン!!
「いたぁ!!?」
そんな罵声に合わせて、本日2度目の拳が落ちる。
与えて下さったのは、もちろんあのお方。
「み・・・・瑞希お兄ちゃん!?」
「このバカがっ!!」
私を叩いたこぶしを震わせながら、真っ赤な顔で瑞希お兄ちゃんが怒鳴る。
「高千穂の気持ちも考えないで、よくそんなことが言えるな、凛!!?」
「な!?あ、あたしは別に、凛のことはどうでもいいです!キスしようが、デートしようが!」
「だから、キスはしませんって!」
「じゃあ、デートはいいんだね。」
その言葉に合わせて、私の背中に腕が回される。
くっついてきたのはもちろん。
「ますみちゃん!?」
この場を修羅場に変えている原因。
彼女はうるんだ目で私を見上げながら甘い声で言った。
「蓮君、デートならいいよね?キスの代わりに、ますみとデートしよう。」
「ええ!?」
「こんなんじゃ、合コンはもう無理だしぃ~助けてもらったからキスはナシだけど、王様としての命令がなくなったわけじゃないよ?だから~デートで貸し借りなしにしよう?」
「えええ!?王様ゲームってそこまでするの!?」
「「「「するわけないじゃん!」」」」
否定してくれたのは、その様子をうかがっていた一団。