彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
◇漢はいつでもアバンチュール!?4代目総長の受難!!
瑞希お兄ちゃんに嫌われた。
「すまんことしたな、凛?」
太陽の光が届かない第2理科実験室で、私の気持ちは沈んでいた。
心配そうに私を見るヤマトに、投げやりで伝える。
「そっとしておいてもらえませんか?今は・・・・・何も言わないでください・・・・」
「そうはいかんで!問3の問題を教えてもらわんと、次のテストが~」
「そっち!?お前この状況で、そっちが優先順位か!?」
世間では夏休み目前であり、テスト週間スタート初日。
密会場所である第2理科実験室で、私はヤマトに勉強を教えていた。
時間はお昼休み。
教えるのにも、ラストスパートをかけるのにも、一番長い休憩時間だった。
「僕が渡したノートは見たんですよね?テスト対策をまとめたノート?」
「そりゃあ、徹夜で書き込んだで!ちゅーことで、ここはどないすんねん?」
「きちんと読んでれば、質問しなくても良いところですよ!?」
「ほな、疑問に答えてぇーな!」
「意味は同じでしょう?わかりました、教えますよ。えーと、問3ですよね?ここは主語がね~」
「わははは!そういうことかい、おおきに!イングリッシュなんぞ、日本からでーへんのに覚えても意味あらへんのになぁ~」
「日本にイングリッシュを使う奴がいっぱい来てるでしょう?覚えておいて損はないです。」
一瞬、屁理屈だと思ったけど、言われてみればそうかもしれないと思う。
「まぁ・・・世界の共通語が英語ってだけですから・・・諦めて下さい。」
「うはははは!なんや~けっきょく凛もわしと同じ気持ちかいな!?この照れ屋さんめ!」
「いいから、勉強に集中してください。君の成績だと、赤点になるかならないかですよ?」
「うはははは!菅原凛は満点かどうかの心配をして、凛道蓮は瑞希お兄ちゃんのことを心配してるっととこかぁー?」
「・・・・なんです、急に?」
ヤマトのノートに走られていたペンの動きを止める。
これに相手は、教科書とノートを見比べながら言った。