彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
可愛い形のカステラを受け取って、マスクの下から口に運ぶ。
「おいしー!?」
「美味しいです。ありがとう。」
「えへへー!どういうたしまして!大変だね、花粉症!」
「ええ・・・まぁ・・・・・」
「ところでさ!今度合コンしない!?」
「合コンはもういいです!」
「もういい?」
「あ!?いや、僕は、興味ないから・・・」
「ん~もしかして、チョコたんが元気ないのはそれ?」
「っ!」
とっさのことで否定できなかった。
違うと言えばいいのに、即答できない。
「あ・・・その・・・」
「なになに?他の男子が狙ってた子が、チョコちゃんも狙ってた感じ!?」
「そうじゃなくて!そういう、ありきたりじゃなくて・・・
「じゃあ、俺に相談しなよ!」
「え?俺に話してみてじゃなくて?」
「相談するべきだって!俺、地元じゃ毎週合コン行ってるから、修羅場には詳しいよ!」
「あまり聞かない詳しいですね!?」
「言っちゃえ、言っちゃえ!チョコたんのお兄ちゃんよりも、合コンのイロハは俺の方がマスタークラス系じゃねぇ!?」
「そうですね・・・トラブルになるぐらい、うちのお兄ちゃんは参加してないと思いますし・・・。」
(彼に・・・ちーちゃんに話せば、楽になれるかな・・・?)
この時、自分でも何故そう思ったのかわからない。
「ちーちゃん、実はね・・・」
「ウェイウェイウェイ!離す気になった系!?よっしゃ、バッチコーい!チョコたん!俺、受け止めるよん♪」
「ありがとう・・・」
見るからにチャラい奴に、どうしてしゃべってしまったのか。
きっと、頭が黒髪だったから、黒髪=染めてない=普通の人ラインと判断したのかも。
あるいは・・・・・
(・・・彼は、暴走族や喧嘩の世界と、龍星軍と無関係の人だから・・・)
かかわりあいがない立場なので、言える気になったのかもしれない。
(真面目には聞くかな・・・)
ぼんやりと考えながら、目を輝かせている相手へと口を開いた。