彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
相手が相手だったので、口に両手を当てながら聞いた。
「今日はおじさん、いないんですかぁー!?」
「これから合流するところだったんだ!ちょうどいい!手土産にお前を逮捕だ、凛道蓮!」
岩倉の返事に、騒然とする周囲。
同時に、カンナさん達のバトルも終わる。
「チッ!あたしらは無視かよ!?」
「知り合いかよ、凛!?」
戦いをやめたはすみさんが、いまいましそうに舌打ちをする。
カンナさんはカンナさんで、素早く私に駆け寄りながら聞いてくる。
だから答えた。
「残念ながら知り合いです、カンナさん。あの人、バラさんの未来の上司で部下なんですよ。」
「ああ!?あのぼんくらそうなのが上司だぁ~!?マジで!?」
「ほぉ~フジバラの旦那の手ゴマなら、アホそうでも捕まるわけにはいかねぇなぁ~」
「はすみさん!?」
にっと笑うと、素早く私達から離れる弁天罪の総長。
単車にまたがると大声で叫んだ。
「高千穂カンナ!この勝負預けた!!」
「え!?」
「行くぞオメーら!特隊!ケツ任せた!あたしも後から合流する!」
「「「オス!」」」
はすみさんの言葉に、軍隊のように答える怖い女子達。
「じゃあな、凛道蓮!高千穂カンナを片付けたら、オメーだ・・・!」
「上等だ、一之瀬はすみ!何度でも相手してやるぜ!」
「へっ!いいだろう・・・お前、なかなか骨があるからな・・・・次が楽しみだぜ!」
ドゥロロロロッロン!!
激しい爆音を響かせると、バラバラになって逃げていく弁天災の一団。
「おい、あたしらも行くぞ、凛!」
「え!?」
呆然としている私に、口元がキレているカンナさんが声をかける。
「行くって・・・あ、病院ですよね!?すみません、僕のせいでー」
「あほか!逃げるに決まってんだろう!?こんな怪我、医者に診せるうちに入るか!」
「ですが!」
「オラ、席変われ!あたしが運転する!」
「え!?」
「たくっ!スクーターでパトを振り切るのは久々だぜ!」
「カ、カンナさーん!?」
私を運転席からどかせると、ハンドルを握るカンナさん。
「捕まってろよ、凛!セクハラもくそもねぇから、ちゃんとあたしの体にしがみつけよ!?」
「ええっ!?わ、カンナさん!?」
「振り落とさねぇ保証がないからな!」
「えええええええええええー!?」
スクーターが発進する。
細道へと入り込む。
「ああ!?卑怯だ!パトカーじゃ追えない!」
おまわりさんの言葉通り、車は追って来られなかった。