彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「わぁ~綺麗な夕焼け・・・」
「明日は晴れるねぇ。はい、500円のお釣りじゃ。」
「ありがとうございます。カンナさーん!明日は晴れるそうですよ~」
スクーターを押しながら彼女に近づく。
そして、立ち止まってしまった。
「きれい・・・」
空を見つめるカンナさんが、すごく穏やかな表情だったから。
「・・・夕日、きれいですね・・・」
「わかるか?結構、好きなんだよな~」
「じゃあ、もう少し見ていきましょう。あそこのベンチで座りながら。」
「そうだな・・・」
ガソリンスタンドの出口に、古い木の椅子がある。
そこに2人ならんで腰を下ろす。
目の前に広がる川が、夕日を浴びてキラキラ光っている。
「ふ~!喧嘩したり、走ったり、ツッコミ入れたりで、つかれたぜ。」
「それなら、何か飲みましょうよ。ほら、となり!自販機が隣にあります!」
「お、ここのジュース、100円かよ?」
「安いですね!」
「なつかし~このラムネ、昔よく飲んだんだよなー」
「じゃあ、僕、おごりますよ!今日も迷惑かけちゃったから!」
「え?あ、ああ・・・」
お釣りでもらった百円を2枚入れて2本買う。
「冷たぁ!はい、カンナさん。」
「サンキュー・・・・」
受け取って口を開ける。
ごくごくと喉を鳴らしながら飲むカンナさん。
「うまっ!」
「よかったです。」
「あと・・・懐かしい。」
「それもよかったです。」
穏やかなカンナさんにホッとする。
私も、缶の口を開けて飲もうとしたが・・・・
「ん?」
視線を感じる。
カンナさんと目が合う。
「なにか?」
「い、いや!別に見てねぇーよ!」
「そうですか・・・?」
飲もうと思って気づく。
(あ・・・ストローがついてないのを買っちゃった・・・)
「これ。」
「え?」
「使え。」
差し出したのは、ストロー。
コンビニでパックジュースを買えば、つけてくれる細いタイプだ。
「使えよ。」
「え!?」
「顔・・・・見られたくないんだろう?」
「わざわざ、用意してくれてたんですか・・・?」
「うるせぇな!これでもあたしは、優しい女なんだよ!」
「知ってます。」
「なっ!?」
「カンナさんは優しい女の子です。出会ってから、今までもずっと、優しい女の子ですよ。きっと、これからもです。」
「ば・・・!?真顔で言うな、ばか!」
「いた!?ぼ、僕、変なこと言いましたか~!?」
「うるせぇーばか!」
ストローを通して、シュワシュワと口に入る。