彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「どうだ?」
「この角度からだと、ハート見えませんね~」
「そうじゃねぇだろう!?」
「あ、すみません!すっごく似合ってます!」
「当然。」
髪を耳にかけると、赤いピアスが光った。
沈む太陽の光で、キラキラと輝いている。
赤い石の中のハートが、反射して浮かび上がっている。
「やっぱり可愛い。似合ってるな~カンナさん。」
「・・・・・ホント、変な奴。」
良かったと思いながら言えば、髪をかきあげながら背伸びするカンナさん。
「じゃ、帰るか!どこまで凛を運べばいい?」
「えーと、僕がカンナさんを送ります。」
「ばか!お前狙われてんだぞ?守ってやっから。」
「ダメですよ。」
ヤマトの許可も取ってないのに、彼の家まで・・・マンション教えるのは良くないしね。
「今日は、僕がカンナさんを守る日なんです。」
「今日だけかよ?」
そう言いながら、振り返るカンナさん。
「あ!?そういう意味では~」
いつもより優しい顔をしていたので、ちょっとドキッとする。
「カ、カンナさんが望むなら、言ってくれた日は送りますので~」
「あはははは!瑞希お兄ちゃんと予定がかぶらなきゃ、だろう?」
「う!?それは~」
「お見通しなんだよ、ブラコ~ン?じゃまぁ、今日は、総長に従おっかな。」
「え?」
「送ってくれるんだろう、凛?」
「!?もちろんです!」
笑顔で聞かれ、同じような顔でうなずいて手を取り合う。
仲良くスクーターに乗り込む。
もちろん私が運転席で、カンナさんが後部座席。
そのころには、空は薄い紺色へと染まっていた。
「夕日、沈んだな。」
「ええ、また一緒に見ましょうね?」
「ああ・・・一緒に、な。」
そう約束して走り出す。
「青春じゃのぉ~」
だから、ガソリンスタンドのおじいさんがそうつぶやいたのを2人は知らない。
~不意打ち多発!?ヤンキーも真面目っ子も敵が多い!?~完~