彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
瑞希お兄ちゃんの用意してくれた部屋に行くにも、大好きな人に会いに行くにも、『凛道蓮』にならなければならない。
そのために、ヤマトの家の洋間が必要だった。
ただ、それだけで――――――
「浮気なんて、違います!僕が一番大事なのは、瑞希お兄ちゃんなんです!」
「・・・ならいいけどよ。」
私の言葉に、あぐらをかきながらつぶやく。
納得はしてないみたいだけど、わかってくれたような言い方だった。
せっかくの2人きりなのに居心地の悪い状況。
話題を変えたくて、今度は私から話しかけた。
「お兄ちゃん・・・今日はラストまでお仕事だったんじゃ・・・?」
「代わってもらった。」
「え!?代わるだけでも文句を言われるのに、どうして!?」
「文句は聞き飽きてるからいいんだよ!凛が・・・・五十嵐のところに入り浸ってるみてぇだって、烈司から聞いてな。」
「え?」
「凛が気になったんだ。」
「僕、が?」
「五十嵐と仲良くしすぎだろう?」
そう言うと、私の腕を掴んで引き寄せる。
「俺より仲がいいんじゃないのか?」
「っ!?」
間近で見る顔は、真剣なもの。
そんな表情をされたら、戸惑ってしまう。
(見惚れちゃう!!)
「ぼ、僕は、瑞希お兄ちゃん一筋です!」
「ふーん。で?」
「だから!瑞希お兄ちゃんが一番大好きだから、ヤマトは本当に友達です!」
「お兄ちゃんと友達が別ものか?ちょっと差別じゃねぇー?」
「え、いや、と、とにかく!!瑞希お兄ちゃんが宇宙で一番大好きなんですよ、僕はっ!!」
「くっ!あっはっはっはっ!そうか、そうか。」
私の必死の訴えに、大声で爆笑する瑞希お兄ちゃん。
「あはははは!そうか、宇宙か?参ったなぁ~そうか・・・!」
ニヤニヤしながら言うと、私から手を離す大好きな人。