彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「凛道さんの写真、全然出回ってないんだもん!送ってよ!」
「いや、それが・・・おかしいんだよ。凛道さんを撮った写真・・・全部ぼやけててさ~」
「はあ!?壊れてたのか!?」
「そんなことねぇよ!てかさ、一緒に行ったマコの写メもさー」
「そうなのよ!実は・・・私らも連打で撮ったんだけど・・・」
「スマホも、デジカメも、ガラケーも!アイポも全滅なんだよ~!」
「撮れてないんだよ。ほら、これなんだけど・・・」
「えええ!?なにこれ、怖っ!」
「顔の部分が、ブレブレじゃんか!?」
「連打もぼけてるよ!?ありえなくない!?」
「おいおい、凛道さん、悪霊でも背負ってんのか!?」
「だから、あんなに無敵!?」
(なにやら、怖い話も聞こえてくるし・・・・)
クラスの連中の会話を聞く限り、私の顔は世間では謎のままらしい。
バレては、いないとは思いたい。
(とはいえ、いい加減静かにしてくれないかな。勉強に集中できないぐらい、うる――――――)
「うるさい。」
女の高い声が響く。
たった一言だったが、それで教室の中が静かになった。
「る、るのあ!?」
「ご、ごめんね~?凛道蓮は嫌だった。」
「別に~」
爪を手入れしながらいじめのボスは言う。
「やっぱり、いいなぁーと思ってるだけ。」
(はあ!?)
やっぱりいい??
(なにこの女、男バージョンの私に興味あるの!?)
どんな嫌がらせよ!?
「いいよねぇ~凛道蓮は・・・・」
「ルノア・・・」
それで生徒たちは互いに顔を見合わせる。
彼氏である飯塚アダムは表情を変える。
「ルノア、どういう意味だよ?」
「妬いてんの、アダム?」
「・・・・悪いかよ。」
「ばかねぇ。」
鼻を鳴らすと、知ったかぶりのような口調で奴は言った。
「意外と、みんなわかんないんだねぇー」
(なにあいつ・・・?)
そこでチャイムが鳴り、教師も入ってきて、テストが始まる。
何とも言えない空気の中でのテスト。
みんな渕上ルノアの言葉が気になっていた。
もちろん私も・・・・
(いいってなんだよ・・・!?)
彼女の発言が気になっていた。
(まさか・・・・屋台で接客した『チョコ』が凛道蓮だと気づいた・・・?)
可能性はある。
それもそれでいやだと思いながら、答案用紙に名前を書きこんだ。