彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
◇緊急SOS!危険は忘れたころにやってくる!!
期末テストも終わり、学校全体は解放感であふれていた。
「夏休み、どこ行く~」
「海は外せないでしょう!?」
「新しい水着、買ったんだよね~」
「みんなで遊びに行こうよ!」
「じゃあさ、じゃあさ!俺らとバーベキューしない!?」
「え~?どうしよっかなぁ~」
「夜は花火もあるんだぜ!?」
「じゃあ、決まり!」
「よっしゃ!いつにする~!?」
解放的になった男女が、楽しそうに会話している。
そんな時でさえ、話題に出る。
「こういう時~友達がいない人は、引きこもるしかないよねぇ~」
「そうそう!イニシャルは、R・Sさん?」
「あはははは!やめろよ、女子~!」
(それがやめてやれって顔か、ブ男。)
私への嫌味に、顔をうつ向かせながらスルーした。
冷めた心で、傷ついたような顔を『作って』教室を出る。
演技で落ち込んでいるふりをしているが、平気なわけじゃない。
クラスメートじゃない人達からも、毎日悪口を言われる。
(噂をすれば、私をトイレに閉じ込めたメス共が・・・!)
そのうちの1人と目が合う。
「てかさ、絶対、あのバーがいいって?」
「夏だけ、JK立ち入りOKってマジなの?」
「良い男、いるかなぁ~!逆なんもありだよねぇー?」
久々に、スルーされた。
どうやら、今日ばかりは自分の楽しみを優先にしているようだ。
友達同士、恋人同士で、これから始まる夏休みの計画を話している。
私にからむことなく、男女関係なく、わきあいあいと話していた。
(はぁ~久しぶりの平和!これがいつまで続くことやら・・・)
ホッとしながら、1人廊下を歩く。
下駄箱へ続く校舎は、夏の日差しが照り付け、とてもまぶしかった。