彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
―落ち着け、凛。盗撮は大丈夫なのか?―
急いで返事を返す。
―盗撮の反応はなかった!でも、盗聴の反応がベットの側に出ました!どうしよう、瑞希お兄ちゃん!?―
早い返事が続く。
―全部、調べ終わったのか?便所やキッチン、風呂場は?家じゅう調べたか?―
不安な気持ちで返す。
―調べたのは、僕の部屋とトイレだけです。そこしか、立ち寄ってないので・・・―
お風呂という言葉にドキッとする。
再び帰ってきたメールを急いでみる。
―全部調べろ!信用できねぇ!―
その分面を見て、心配してくれてると言うよりも怖くなる。
―怖いよ。―
思うだけならよかった。
それなのに私は、何を血迷ったか・・・・弱気な言葉を送ってしまった。
(しまった!つい、菅原凛モードで弱虫な文面を~)
贈ってしまった弱気なメール。
しかし、それにもすぐに返事が返って来た。
ヴヴヴヴヴヴヴ!
「あ・・・!?」
メールでは、電話。
(どうしよう・・・・)
迷ったけど、ボタンを押して出た。
「も・・・」
〈しゃべるな!黙って聞け。〉
早口で、低い声で、私の好きな人が言った。
〈いいか、自分で見たわけじゃないなら、全部調べろ。人から聞いた話が、全部本当だとは限らない。〉
冷静に、なだめるような声で瑞希お兄ちゃんはしゃべる。
〈ひでぇよな、最低だぜ、そいつら。凛が怖くなるのも当然だ。〉
(瑞希お兄ちゃん・・・!)
〈今日中に調べるのが一番いいが、無理にしなくていいからな?その代わり、凛の部屋の盗聴器だがー〉
一呼吸おいてから彼は言った。
〈そのままにしておけ。〉
「えっ!?」
〈静かに!〉
注意され、慌てて口をふさぐ。
驚く私に、瑞希お兄ちゃんは静かに告げる。
〈下手に触って、絶対に取ろうとするなよ!?これは大事な証拠だ。いいか、怖いかもしれないが、今まで通りに過ごせ。〉
今まで通りに!?盗聴されてるのに!?
〈盗み聞きされてるのに普通にするのは難しい。気分も悪いと思うが・・・それが一番安全なんだ。でも、凛ならできる。相手に気づかれないように、気づいてないとだますためにもやり返してやれ。〉
やり返す。
良くない言葉だけ、私にはいい響きだった。
〈聞かれてることには変わりないから、聞かれて困る話はしないようにしろよ?わかったな?〉
わかりましたと言いかけて、でかかった言葉を飲み込む。
返事はするなと言われていた。