彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
学校を終え、家へと帰宅する。
本日は、自宅から瑞希お兄ちゃんの元へ向かう予定。
だから、演技にも力が入る。
「ふ~アイスでもかじりながら、ジャック・バウアー見ようっと♪」
やっぱり大画面じゃなくちゃねぇ~・・・という、部屋を出る時の捨て台詞も忘れない。
そのままこっそり、裏口から外へと出る。
近所の人しか知らない抜け道で駅へと向かう。
人の目が気になったし、怪談話を聞いた後なのでヤマトのマンションにはいかなかった。
いつものロッカーまで行って、勉強道具と引き換えに着替えを取る。
バッチリ着替えると、愛しい彼の元へと向かう。
いつもなら裏門から入るんだけど・・・・
「あれ!?お店の正面玄関が開いてる・・・・?」
閉まっているドアが開けっ放しになっていた。
(今日の瑞希お兄ちゃんは早出だけど、夜店用のコーヒー豆の仕入れがあるから『お店』は開けないって言ってたんだけどなぁ~?)
いるならいるで嬉しいけど。
ドキドキしながら、正面から中へ入った。
「こんにちはー・・・?」
「あん♪凛ちゃん、いらっしゃーい!」
「モニカちゃん。」
いたのは、立て看板を抱えたオネェさん。
彼女の持つ板に書かれた文字を見て、期待外れだったと理解する。
「やっぱり、今日はお休みで正解でしたね?」
「そういうこと!換気のために開けてたら、勘違いした常連さんが結構入ってきてね~これを出しとくことにしたの!」
そう言って手に持っていた看板を見せてくれた。
よく目立つ文字で『CLOSE』と書かれている。