彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
住宅街を抜け、国道へと飛び出す4台のバイク。
「いや~ええ子やなぁ!」
「前に、凛道がオメーに伝言頼んだ女だろう、カンナ?」
「そうだよ!だから何だ?」
「凛道がどういうつもりかわかんねぇが、あんまり地味っ子に構うなって言っとけ!」
「テメーで言えよ、ボケ!けが人だから優しくされるって、勘違いしてんじゃねぇーぞ!?」
「はあ!?勘違いさせてんのはカンナの方だろう!?」
「なにがだ!?」
「そりゃあ~・・・チッ!知るか!!」
真実を言いかけて、口を閉ざす。
それを言うのは俺じゃない。
本人が言わないことには・・・・
「余計なおせっかいできるか・・・・!」
「なんだ、円城寺?小林さんのこと、そんな風に思ってんのかよ?」
「はあ!?勝手なこと言ってんじゃねぇぞ、ハゲ!」
「五分刈りだ!オメー凛さん関係に厳しすぎやしねぇーか!?見苦しいぞ!?」
「誰が見苦しいだぁ~!?族の頭にちゃん付けされて、喜んでる方がどうかしてんだろうーが!?」
「えんなんとか君!その言い方はあかんでー!?失礼やんか!?」
「ああ!?マジだろうが!?」
「せやけど、本人の前で言うたらあかんわ~!」
「「「本人の前?」」」
「ど、どうも・・・・」
大きなヤマトの体から、小柄な涼子が顔を出す。
それで険悪だった空気が止まる。
しばしの沈黙。
「な・・・・小林ぃぃぃぃ!?」
「なんでヤマトのケツに乗ってんだっ!?」
「おばちゃんのバイクに乗ったんじゃなかったのか!?」
「そ、それが・・・・私もよくわからなくて・・・」
あの時。
風でスカートがめくれたと思った。
でも、気づいた時には、小脇に抱えられていて、さっき後部座席に積み込まれていた。
「とりあえず・・・五十嵐君が原因みたいで・・・」
「ヤマトぉ!?」
「五十嵐!?」
「ラ~ジ~オ~!?どういうつもりだぁー!」
「うはははは!」
全員から詰まる避難に、サングラスの男子は笑いながら答える。
「せやねん!わしが乗せたんや!だって、女の子の応援団もいるやろう!うっはっはっはっ!」
〔★余計な気遣いだった★〕