彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
指定されたのは、港の近くの倉庫。
(いかにも、白い粉とか機関銃の取引をするのにピッタリの場所だなぁー・・・)
そう思いながら、車が出入りしている入口に向かう。
「あれ?」
ガードマンでもいそうなゲートは、完全に開いていた。
(罠かなぁ~・・・・)
このまま入ったら、落とし穴とかあるんじゃない?
敵が隠れていて、集団で攻撃してこない?
あるいは、ハチの巣にされる?
〔★凛は警戒を強めた★〕
ゆっくりと、スピードを落として止まる。
バイクのライトが入口を照らす。
「凛道蓮か!?」
そう言って、誰か出てくる。
バットやゴルフクラブを持った男が数人。
「どちら様?」
「質問に答えろ!凛道蓮だな!?」
「人にバット向けながら言わないでください。・・・・見りゃ、わかんだろう・・・!?」
最初は優しく、最後はわざと低い声でうなるように言う。
それで男達は、うっ!とか言いながら後退した。
だから、ハンドルから両手を下ろしながら言った。
「わっざわざ!目立つ白服で、決めてきてんだぞ!?全身で挨拶してんだろうっ!!?」
―――――――バウンッ!!
軽くふかして、単車を斜めに滑らせる。
肩から背中が相手に見える姿勢になる。
腕に刻まれた『4代目総長』と背後の『龍星軍』の文字がわかるように。
「くっ・・・!たしかに、本物だな・・・!」
「長谷部と吾妻は?」
通常の声に戻しながら聞く。
「案内する!」
これで、左右から単車を押した男達が出てきた。
(エンジンをかけずに待っていたのね・・・)
その方法なら目立たないし、何人隠れているかわからないわね。
分籍していれば、私の名前を聞いてきた奴が言った。
「ついて来い!」
「どこまで?」
「黙って、従え!人質がどうなってもいいのか!?」
「目印ぐらい聞いてもいいでしょう?ガス欠が足りないかもしれないから。」
「はあ!?満タンで来いよ!」
「つーか、すぐそこだっての!」
「どこ?」
「だから!あそこの赤く光ってる~」
「ああ、あそこ?」
指さしながら言う相手に、確認を込めて指さす。
「あれですか?一か所だけ、赤いライトで照らされてるところですね?」
「そうだよ!それぐらいの距離もないって言うのか?」
「ありますよ。どうもありがとう。」
バウ―――――ン!
お礼を言ってアクセルをかける。