彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「なっ!?」
「え!?お前!?」
「ナビをご苦労様。教えてくれてありがとう。」
バウン、バウバウウウゥウウ――――――――ン!!
驚く男たちめがけて、エンジン全開で発進する。
「うあああああああ!?」
「ぎゃあー!?ぶつかる!」
あたるかもしれないと思ったけど、みんなどいてくれた。
左右に飛びのいて、まるでイルカのようだ。
〔★イルカにしてはカラフルだ★〕
「こ、殺す気か!?」
「おい、待てよ!」
「勝手に良くなっ!」
「待ちやがれぇ―――!!」
そんな声もしたけど、無視して進んだ。
たどり着くまでの罠はないと思った。
だって、私が来たことは、本陣には伝わってるはず。
それならば、少しはいろいろ仕掛ける時間を節約してもらわないと。
「卑怯者の歓迎をまともに受けるほど、こっちはお人好しじゃねぇーんだよ!!」
パッパッ!と、音を出しながら走る。
それに反応して、物陰からヤンキー達が顔をのぞかせる。
「な、凛道蓮!?」
「なんで一人で爆走してきてんだ!?」
「ジョーたちはどうしたんだよ!?」
「やられたのか!?」
「人質がいるのに!?」
「の、乗りこんできたぞー!?」
好きかって言ってる奴らと、そいつらが逃げ込む道を選んで進む。
きっと、こいつらをたどって行けば、目的地に着けるはずだから。
そして―――――――!
(赤い照明の場所!!)
ギャッギャッギャッ!
光めがけて飛び出し、横滑りでブレーキをかけて止まる。
海に面する倉庫に、奴らは固まっていた。
「―――――――龍星軍4代目総長、凛道蓮参上っ!!」
カッコつけて、叫びながら単車を横付けしたのだけど。
「な、凛道蓮!?」
「なんでそっちから現れんだよっ!?」
「あれ?」
目に映ったのは、私に背を向けている蛇の目のみなさん。
「あ・・・。」
(もしかして、出る方向を、間違えた・・・?)
私が名乗りを上げるまで、全員背中を向けていた。
なによりも、良く目立つ真っ黒なスポーツカーやバイクが、後ろ向きで止まっていた。
それで彼らの背後に、飛び出したのだと確信できた。
〔★凛は後から登場した★〕