彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
相手の予想を裏切ったことで、ざわめき立つ蛇の目サイト。
「凛道ぉ!!?」
人混みと、並んだバイクと、見え隠れする他の車の間から聞こえた声。
誰だかわかっていたので、軽く息を吸ってから叫んだ。
「蛇塚!!来てやったぞ!?」
「誰が後ろから来いって言ったぁ~~~~!!?」
(やっぱりね・・・あっちが正面だったかー・・・)
蛇塚の言葉で、正面へと待機して全員がこちらへ向き直る。
因縁の相手、蛇の目の蛇塚菊千代が早歩きでやってきた。
「テメー凛道!案内役はどうした!?」
「置いてきました。」
「なんでだよ!?」
「いや、時間がもったいないので。」
「どんな節約だ!?従えよ、こっちの指示に!!」
「だから、来てやったんだろう?・・・・秀と悠斗はどこだっ!!?」
「けっ!そんなに会いたいなら、会わせてやるよ!おいっ!」
蛇塚の合図で、男達がわらわらと動き始める。
単車を両端に寄せ、2台の車がバックしてきた。
同時に、周囲の証明がぱっとつく。
「あ!?」
白い光の中で浮かび上がる2台の車。
そこに人質2人はいた。
「秀君!悠斗君!」
「凛君!お前は~」
「何やってんだよ、凛道ぉー!?」
「こっちのセリフですよ!?」
車のフロントガラスに、磔(はりつけ)のようにして大の字で縛られていた。
2人共、制服のシャツを着ておらず、吐いているズボンは泥だらけ。
白い光に照らされる身体は、傷だらけだった。
「大丈夫ですか!?助けに来ましたよ!」
変わり果てた姿に、胸が締め付けられたが・・・・
「お前は~~~!ぶっ!?あはははっは!!」
「なにを・・・・だーはっはっはっ!!考えてんだよぉ~!?」
「え!?突然どうしたの!?」
明るく照らされた光の中、ボロボロになった2人が爆笑した。
予想していなかった反応に、素で動揺してしまう。