彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)



「あはははは!いいじゃんか?凛は、ちっちゃくて可愛いからさ~」

「ニタニタしながら言うのを、やめて下さいよ!僕、子供じゃないです!」



完全にからかいモードで、相手にしてくれない瑞希お兄ちゃん。



「別に、嫌われてはねぇからいいだろう?あのじいさん、気に入った奴にしかおごらないし。」

「じゃあ、おごってもらえてる瑞希お兄ちゃんは、気に入られてるんですね?」

「どうだろうな~?自分のことはわからねぇからよ!」

「絶対そうです!そう思って下さい!」




苦笑いする彼を、謙虚だと思う。




(そういうところも含めて、好きすぎる・・・・・・・!)




「あれで、人を女だとからかわなければ、もっといいんだよな~」

「あははは・・・美人姉妹にされちゃいましたね~」

「たく、誰が女だよ!?俺らは、兄弟だっての!なぁ?」




瑞希お兄ちゃんからの同意の言葉。

それに少し心が痛む。





「瑞希お兄ちゃん・・・」

「ん?どうした?」

「いいんですか?」

「なにが?」

「だって・・・・・・僕のことを、実の弟って言ってますけど、本当は他人じゃないですか・・・。」




瑞希お兄ちゃんは、僕のことを弟だと紹介してるけど、全然違う。

本当は、血のつながりなんてない他人同士。

だけど、この頃の瑞希お兄ちゃんは、僕を『自分の弟』だと言って紹介する。

決まって、兄弟だって言う。




「実際は、僕と瑞希お兄ちゃんは、仲のいい先輩後輩じゃないですか?」

「なんだよ、凛は嫌なのか?」




僕の言葉に、彼がこちらを見る。

不思議そうな顔をされたので、よけい困惑した。



「ち、違います!嫌じゃないですけど、ただ・・・」

「じゃあ、いいじゃねぇか?俺は凛のこと、本当に弟だと思ってる。それぐれー大事だ。」

「瑞希お兄ちゃん・・・」

「何年も前に、助けたことの礼が言いたくて、俺をずっと探してくれてたこと・・・。それを知った時、俺はすごくうれしかったぜ?」




6年前、家庭環境が嫌で家出した時、僕は瑞希お兄ちゃんに助けてもらいました。

彼は、名前も告げずに去っていき・・・それから僕は『みずき』という名前を頼りに探し続け、やっと再会できたのです。

一目で大好きになった真田瑞希お兄ちゃん。

瑞希お兄ちゃんは、僕のことを覚えててくたけど・・・・






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