お金か愛か～16歳男子の決断～

俺でも場所を把握するのに３ヶ月くらいかかったしな。


「わからんかったらいつでも言い？移動教室とかで迷子にならんように…。」


俺は心の中で笑ってしまった。


中原さんがなんとなく方向音痴そうやから。


迷子になりそう…そんな予感がする。


「迷子になんかならへんよ！…たぶん…。」


強気な言い方からだんだん弱くなった。


自信ないんやな…。


「まぁ、迷子にならんように気をつけや？中原さん！」


「う…気をつける…。」


下を向いてしまった中原さん。


ちょっと心配かも…。


「中原さん…？」


「内村くん、よかったら歩莉でいいよ？中原さんって堅苦しいやん？」


前髪の分かれ目から少し見えたほんのり赤い顔。


控えめに言う中原さんがすごくかわいく見えた…。


「じゃあ俺も惟智でいいからな！歩莉♪」


「う…うん！」


顔をあげて笑った顔も自己紹介の時よりかわいく見えた…ううん、かわいかった…。