お金か愛か~16歳男子の決断~
マザコンちゃうけど…もうちょい生きててほしかったなぁ…。


柚香や香耶のためにも…。


「ご…ごめん。聞いたらあかんこと…」


「俺には父さんと3人の妹がおる。だから寂しないよ?歩莉…気にしんといて?な?」


俺の本音。


ほんまに寂しくなんかない。


だってさ…


「母さんのこと、覚えてへんから…。5歳の時やねん…母さんが死んだん。」


全然覚えてへんって言ったら嘘になる。


でも、面影くらいしか思い出せへん。


それから9年分の思い出で記憶の端へと追いやられたみたいや。


歩莉は黙りこくってしまった。


歩莉は何も悪いことは言ってへんで…?


「歩莉?今度さ…俺の料理食べにこーへん?」


「…え?」


俺はにこっと笑った。

大丈夫…という想いを込めて。


「…うん!」


歩莉も笑顔で返してくれた。


伝わったみたいやな。




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