お金か愛か~16歳男子の決断~
でも…まぁいつも言われっぱなしやし?


「何分かの違いやのに一番上やからて飯作んの押しつけたのは…誰や?」


俺は智柚より10分くらい早く生まれたらしい。


智柚は黙り込む。


理由は…みなさんもおわかりの通り、俺に押しつけた犯人がまぎれもなく智柚やから。


「全く…。」


はぁ~…とため息をつく。


「明日っから智柚が飯作るか?」


智柚はおもいっきり首を横に振る。


そんなに嫌なんかい…。


「ごめん…。でもうちが作ったらみんな病院行きになる気がすんねんなぁ…。」


やけに低い智柚の声が、余計話をリアルにさせる。


確かに…そうかも…。


智柚って砂糖と塩、キャベツとレタスの見分けもつかへんし…。


想像するだけでぞくっとする。


「…もうええから、洗濯しまっといてや…。」


俺はそう言って包丁を持つ。



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