お金か愛か~16歳男子の決断~
「歩莉、落ち着いて聞きや?」


「う…うん?」


よくわからないまま返事をする歩莉に対して、歩莉のお母さんは真剣な表情と声。


何か…何かあったんや…。


歩莉のお母さんの様子は、俺にそんな直感をさせた。


俺はここにいたらあかん気がしたけど、動くことができんかった。


「おばあちゃんとおじいちゃんが事故にあった…」


「え…?おばあちゃんと…おじいちゃんが…?」


歩莉の声はいつもより小さい。


歩莉のおばあちゃんとおじいちゃんが…事故に…!?


歩莉のお母さんの言葉を聞いた時の俺の悪い予感は的中した。


「だから…今から病院に向かうとこなんよ!歩莉も行くで…!」


「う…うん!」


お母さんは歩莉の手をつかんで走り始めた。


「待ってお母さん!」


歩莉が止まった。


歩莉のお母さんも…止まった。


そして呆然と2人を見ていた俺と目が合う。


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