お金か愛か~16歳男子の決断~
○○医院の前につくと、歩莉が外で待っていた。


乱れた呼吸を整えて、なんとなく悲しげな顔の歩莉に声をかける。


「歩莉…!」


「惟智っ♪」


笑顔で言う歩莉。


無理しんくていいのに…。


「いきなり来てもらってごめん!」


「ううん…。」


俺に心配かけまいとテンションを無理してあげている…


そんな歩莉に俺は明るく接することができひんかった。


「あのベンチに座ろっ!」


「…おう。」


無理して明るく振る舞わせるほど…俺って頼りない?


なぁ…歩莉…。


「今日、お母さんから話聞いて…惟智にはどうしても早く、直接話したかってん。」


相づちを打たへん俺 に歩莉は話を続けた。


「うち…引っ越すわ!」


え…!?


引っ越す…!?


隣の歩莉を見ると、青い空を見上げながら…


静かに涙を流していた。


明るい口調とは反対に。


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