お金か愛か～16歳男子の決断～

「ここは結構田舎で病院も充実してへんやん？

でも、お母さんが住んでるとこの近くやったらいい病院があるんやって！

やし、おじいちゃんとおばあちゃんも一緒にお母さんが住んでるとこに行くことになってん。」


確かに…ここは重傷を負ってる患者に対応できるような設備が整った病院はあらへん。


母さんが死んだのも…医療設備が整ってへんかったことが原因の１つやって聞いたことがある。


歩莉が引っ越したらお母さんと一緒に暮らせんねんし…


歩莉にとっては引っ越す理由がどうであっても、うれしいことや。


でも…今日１日歩莉がおらんかっただけで、俺はやる気もおこらんかったのに…これから歩莉がおらんなんて…。


「惟智…うちは正直言ってここを離れたくない。ここって言うよりも…惟智と離れたくないねん…！」


歩莉は俺に抱きついてきた。