デキ愛レッスン！？

可愛い顔に苦笑を浮かべた夕雨子は、仕事が休みの日にいつも貼ってある、夕里子からのメッセージを流れるように読みながら、冷蔵庫からおかずを取り出すと、ラップを外して電子レンジに入れた。
グルグル回り出したレンジの中を確認するように一瞥する。今度はコンロの上に置いてある鍋の蓋をヒョイと上げた。
残り少ない味噌汁の中に、大好きなえのきを見つけた夕雨子の顔が、思わず綻ぶ。
温め直した焼き鮭のお皿に、ほうれん草のおひたしを適当に入れる。漆の器に味噌汁を、そして茶碗に白米をよそって、典型的な和の食事の出来上がり。
「痩せの大食い」とまではいかないが、どちらかと言うと細身な双子は、毎食適切な量を、毎日キチンと摂っている。だから健康的な外見をしているし、実際健康体なのだ。
夕里子は、子どもの頃から料理を作ることが好きで、なお且つ得意だと自分で認めるだけあって、彼女が作る料理は、どれも美味しい。
一方、夕雨子が作る料理も、ハズレはないが、彼女は料理を作ることは嫌いじゃないという程度に好きなので、率先して作ろうとは思わない。
家族の中で夕雨子が一番帰宅が遅いという事情も重なり、今は夕里子が冬木家の台所を統括している。
今日は晩ごはんどうしようかなと思いながら、夕雨子は、少々遅めの朝ごはんを食べた。