好きって。
「悠ー!クラスにイケメンいたー?」
「お前そればっか…悠、こいつクラスでもずっとこんな調子でさー」
「面食いもほどほどにしないと、そのうち男子から反感買うよー」
「えー!悠までひどーい!」

昇降口まで来て美咲が止まる。
「あ!忘れ物したー!」
「取ってこいよー」
「うん、取ってくる!悠行こー!」
「なんで私も行くの…」

半強制気味に女子トイレに連れ込まれた。
「は?忘れ物は?」
「えへ、うそでーす!」
「じゃあ戻っていいすか」
「もー悠冷たいー!だってこうでもしないと瑞希、悠から離れないんだもん!」
「瑞希がいると話せないこと?なに?」
「うーん…あ、あのね、えっと」
「どした?」
「春休みにさ、遊園地行ったじゃん?」
「行ったね」
「そのとき太一がさ…えっと…」
「?」
「…あ、あのね!!悠!私ね!!」
「うん?」
「た、太一のこと…好きかも…!!」
「え、喧嘩ばっかりのくせに?」
「うん、喧嘩ばっかりのくせに…」
「はあ…。え、それだけ?」
「え、あ、うん」
「何でわざわざ私に言ったの?」
「友達は好きな子ができたら教えるもんなんだよー!」
「え、なにその面倒なシステム」

そのあと、本当にそれだけだったみたいで二人のところに戻った。
「おーい美咲ー、悠ー、アイス食いに行かねー?」
「いいねー!」
美咲は普通に接してて好きって案外分かんないもんだなって思った。


まだ春なのにほんのり暖かくて、セーターを着てると少し暑いかなってくらいの気温の今日。
アイスを食べながらみんなでクラスのことを話してた。

「でさー!太一ってば木村君の筆箱、自分のだって間違えててー」
「はー?美咲だって石井の席自分の席だと思って座ってたじゃんかー」

なんだかんだ仲良しなのかな…。
美咲って意地張るくせがあるから素直になればいいのになー
なんて考えてたら瑞希が空になった私のアイスカップを持って捨てに行ってくれた。
「あ、ごめん。ありがとう」
「ううん、自分ののついでだから気にしないで。」

美咲と太一が話してるのを見て少しだけ微笑ましいななんて眺めていたら突然、目の前に手が出てきた。
「うおっ!」
「あ、ごめん。ボーっとしてたから。」
「いや、大丈夫。戻ろうか。」
歩き出そうとしたら腕を引っ張られた。
「ゆ、悠…」
「え、なに?」
「悠って太一の子と好きなの…?」
「なんでそんな、急に…」
「深い意味はなくて、気になったから…?」
「えー、別に嫌いじゃないよ」
「あー、そっか。」
「なんか今日みんな変だね」
「みんな…?それってどーゆー」

「悠ー!!太一が私のアイス食べたー!!」
「一口くらいいいじゃねえか!」
「やだー」

「戻ろうか」
「うん…」
なんか、みんなして好きとか…意味わかんない。
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