いつもの場所

「なにその男？賢太郎だか知らないけど…てか、え？なんで濡れ衣かぶっちゃったの？！」凛々子は怒りながら捲し立てる。



「いやいや、おかしいでしょ。まず働いてないなんて人間としてクズだね。」いつも冷静なネムも少し息が荒かった。



「す、すごいね…」あまりの衝撃にそれ以上の言葉がなかった絵里が控えめに声にした。



「で、結局今だに朱美が犯人のままなの？」凛々子が眉間にシワを寄せ聞く。



「ううん、一旦はそれで処理されたんだけど、やっぱり…親の目には逆らえないね。お母さんにすぐに見破られたんだ。」



「やっぱりね…」と、5歳の息子をもつ凛々子は納得したように頷いた。



「それから賢太郎さんには警察に行ってもらって、自首してもらったよ。すでに処理してたし、殴られた顔で賢太郎さんと彼の父親が謝りに来たから私のお父さんも許したし、事件にはしなかったよ。」



「そっかぁ…でもよかったよ、そんな奴と縁が切れてさ！それにしてもその当時の担当の警察官と従妹を介して再会するなんて、それも運命だね！」と凛々子はみんなのしみじみした雰囲気を明るくもり立てた。