いつもの場所
7. 動揺



「あ、なんか久しぶりの友達からで。ははっ」



ネム自信も歯切れの悪さを自覚しているものの動揺を隠せなかった。



そう。メールの相手は半年以上連絡がなかった直樹だった。



「元気?」とたったの一文だったにも関わらず7年もの関係はそう簡単には切れないようだ。



ネムは必死に動揺を隠そうとキッチンでマグカップを洗っていた若林を後ろから明るく抱き締めた。



ネムは若林を無下にはできなかった。直樹と離れてからのネムを心から支え、ネム自身もそんな彼には感謝していたからだ。



いつも他愛もない事で笑い合い、直樹とは違った“いつも一緒”の恋愛に浸っていた。



若林もそんなわざとらしく笑うネムに気づいてはいたが、それを強引に払拭するように激しく口づけをした。



若林は「ネム、好きだよ…」といって彼女をひょいと持ち上げキッチンに乗せた。



若干マンネリになりつつあるいつものセックスがたった数メートル離れた場所になるだけでネムもいつもより激しく彼の首に吸い付いた。



そのまま激しく愛し合ったあとも若林はまだ不安が拭えずこう言った。



「もう一回ちゃんとベッドでしよう」



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