いつもの場所
「ネムいつもありがとう。女の子に送ってもらうなんて情けなくてごめん。」



「ううん、いいの。いつか若林くんが就職したらドライブにでも連れてって。」



とネムは微笑んだ。



「もちろん!いつか旅行でも行こう。」



そういうと助手席の若林はネムの目をじっと見つめて唇を重ねた。二人はだんだんと息遣いが荒くなり、ついに彼の手はそっとネムの太ももにつたった。



「若林君、ごめん今日はいろいろあったから…」と、若林の手に自らの手を重ねて動きを止めるように促した。



「そうだよな、ごめん。」



「それに明日テストでしょ?頑張ってね!また学校終わったら連絡ちょうだい」



そういって別れた二人であったがネムは帰り道、子供の様に泣きじゃくった。



理由は分からない。



直樹への拒絶のようなメールを送ってしまったこと。



思っていたより子供じみたことを言う若林。



けどそんな彼に許してもらえたこと。



忙しかった一日が終わり安堵したこと。



何よりフラフラしてしまいそうな自分が不安でしかないこと。



とにかくとにかく泣きじゃくった。
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