いつもの場所
10. それぞれの性格



時は流れ、気付けばクリスマスもお正月も越し、あと数日でバレンタインだという街中はチョコレートの匂いがしそうなほど甘い雰囲気が漂っている。



直樹からは一切の返事もない。



落胆させたのかという不安もあったが、怒らせてあれこれ言われなかったことに安堵もした。



「絵里おーそーいー!」



「ごめんごめん!」と駆け寄ってきた絵里にいつもの3人が笑顔で手招きした。



「とりあえず生でいい?」と朱美が早く飲みたそうに急かした。



「ごめん、急いでて車で来ちゃったの。」



「え~!久しぶりにみんなで飲もうって居酒屋来たのにぃ!」と文句を垂れる朱美だったが、すかさずネムは



「なら、送ってね」



と語尾にハートマークがついたようにウインクした。



「賛成~!」と朱美と凛々子がいうと



「はいはい」と母のように絵里はうなずいた。



とはいえ、この状況はいつものこと。あまりお酒が好きではない絵里は、何かと「車できた」と言ってはアルコールを避け、みんなの「足」になることを全く厭わない。



「ちょっとみんな聞いてくれる…?」ニヤニヤしながら凛々子が話す。



3人は串焼きを頬張りながらうなずいた。



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