いつもの場所
「凛々子、こんな夜中に電話してごめん!私直樹に会いにセントレアに向かうから!」



寝ぼけナマコな凛々子でも久々の『直樹』というワードに目が覚めた。



「ん?なに、今日帰ってくるの?!」



「うん、前に3月1日に帰国ってことだけ連絡があったの。それから返事はなかったけど…



とにかく会いたいから行ってくる!」



「そう、わかったよ。時間は?」



「分からない。1日待ってる。」



凛々子はもう若林の事をこれっぽっちも考えていないネムに笑いが込み上げた。



「ハハハ、やっぱ直樹かよ~!気を付けてね。一緒にいこうか?」



「ううん、大丈夫だから。ありがとう。」



「若林のこともいずれはちゃんとしなくちゃね。」



少し沈黙の末ネムは…



「凛々子お願いがあるんだけど。」



「ん?何?」



「私今若林くんのことなんて何一つ考えられない。薄情な女だ、って凛々子たちに友達やめられてもいいから…



別れるって伝えといて!



じゃ、行ってきます!」



「は?え?ちょっと何それ…」



とネムは驚く凛々子の言葉を全て聞かず電話を切った。



凛々子は呆気にとられるも、なんだかそんなネムを目の当たりにして少し笑った。



ネムは元々男のことになると優柔不断で長いものに巻かれるようになぁなぁだった。



そんな彼女の決断が勇ましかった。



凛々子は、直樹のことになるとこんなに猪突猛進なネムにエールを送りたくもなった。



そして『明日は一仕事あるな…』と考えつつ眠りについた凛々子だった。
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